Microsoft 365からGoogle Workspace へグループウェアを変更することになると、データ移行は避けられないかと思います。しかしながら、ユーザーにデータを手動で移行してもらう、というのは、ユーザーへの負荷や移行状況の管理が大変ですよね。
今回は、
- Google 社の提供するデスクトップアプリ「パソコン版 Google ドライブ」
- DOSコマンドである「robocopy」
の2つを利用して、管理者によってShare Point Online 上のデータをGoogle Workspace へ移行した事例をご紹介いたします。
【お客様の抱えていた課題】
- Microsoft 365環境からGoogle Workspace 環境へテナントを移行したい
- テナントの移行にあたり、Share Point Online 上に存在するファイルの移行を行う必要がある
- Share Point Online に保存してあるデータ量が多い(数百サイト・80TB規模)
- どのようなツールを用いてデータ移行を行うことが適切なのかが分からない
上記のようなご相談があり、移行ツールの選定から実際の移行ご支援までを、弊社にて実施する運びとなりました。
【課題へのアプローチ】
Share Point OnlineからGoogle Workspace 内のGoogle ドライブへの移行を行うためのアプリケーションは、Google社から下記が用意されております。
上記参考ページの通り、Google Workspace にてデータの移行を行うことが出来るアプリケーションは幾つか用意されており、当初は移行するデータ量が多いことから、大規模向け(1001以上のユーザ向け)の移行アプリケーションである「Google Workspace Migrate(以下、GWM)」を利用した移行を予定しておりました。
しかし、検証を行ったところ、Microsoft 365側の未公開の仕様(※)により、大量にデータがあるサイトでは制限に抵触してしまい、移行の基準を満たせないことが発覚します。
※通信データが一定数に達した場合に通信を制限する機能(スロットリング)を指します。具体的にどこまでのデータ数を超えた場合に当該機能が発生するかを問い合わせても公開情報を得られませんでした。
両社(Google社、Microsoft社)のサポートへ問い合わせても上記問題の早期解決はできない状況の中で、冒頭に挙げた「パソコン版Google ドライブ」+robocopyが第2の候補として挙がりました。
移行を続ける中で、本方式であればエラー率が許容範囲内でありその原因究明も比較的容易であり、お客様にご納得いただける形で移行が可能と判断され、「パソコン版Google ドライブ」+robocopy案が採用されたのです。
【移行の概要】
<システム構成>
<システム概要>
パソコン版Googleドライブ+One Drive同期クライアントを移行用サーバーに導入することで、robocopyコマンドでの移行が可能となります。
上記ツールは、いずれもWebブラウザ上でのファイル操作をWindowsのエクスプローラ上で可能にするツールとなり、ファイルのパスをWindows形式で表示することができます。
robocopyコマンドを実行する場合、ブラウザ上のGoogle ドライブのフォルダ(URL形式)を指定することはできません。
これは、ブラウザ上のフォルダはURL形式で表されているからであり、robocopyコマンドはWindows形式でのパスのみ受け付けるためです。
・URL形式のフォルダパス :指定できない
http://drive.google.com/XXXXXXXXXXXX
・Windows形式のフォルダパス :指定できる
G:\Googleドライブ\〇〇〇\△△△
ファイルパスの表示形式をWindows形式にすることで、robocopyコマンドが実行可能となり、結果としてGoogleドライブへの移行が可能となります。
<差分移行の実施>
移行期間が長くなることで、以前に移行をしたフォルダ内のファイルが更新されたり追加されたりするなど、移行元との差分が発生してしまいます。
上記の場合に対して、robocopyコマンドは差分移行の実施が可能です。
robocopyコマンドは移行元と移行先に指定したフォルダの差分を確認して、ファイルの更新や追加/削除を行うことができます。その他、特定のファイル形式を除外したり、期間を絞った移行も可能です。
【移行の結果】
本方式によるデータ移行の結果、5か月で約80TBのShare Point Online上のデータを移行することに成功しました。
このように当社では、グループウェアを移行する場合に発生するデータ移行のお手伝いをしております。Google Workspace やMicrosoft365を利用する上でお困りごとがあればお気軽にご相談ください。
※本記事の情報及びスライド内の画像は 2025/04 時点での仕様のものです
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