近年、コロナ禍の影響により対面でのやり取りをする機会が減少し、それに伴い顧客とのコミュニケーションツールとしてクラウド型グループウェアを利用されている企業が増えてきているのではないかと思います。
その中でもLINE WORKSは、日本人になじみのあるLINEと同じような使い勝手のトーク機能(チャット)を持っており、LINEと繋がる事ができる唯一のビジネスチャットです。外部のお客様や個人顧客とのコミュニケーション強化に活用ができます。
今回の記事では、LINE WORKSの活用にあたり、トークデータの分析・可視化をすることで意思決定に役立つ情報を得られるかどうかについて検証を行いました。
【お客様の抱えていた課題】
お客様は、顧客とのトークデータ活用に対して、以下のような課題を抱えていました。
- トークデータからどのような情報が得られるのか解らない。
- トークデータから得られた情報から、どのような効果が期待出来るのかを知りたい。
弊社に上記のようなご相談があり、トークデータを分析・可視化することで、どのような情報が得られるかを検証しました。
【検証の実施概要】
トークデータの分析手法として、Google Cloud PlatformのサービスであるNatural Language APIを利用してテキスト分析を行ってみたところ、低コストで有用な情報が取得できる事が分かってきました。
トークデータの分析のための自然言語処理を行うには、大量のデータを用いて分析モデルのトレーニングを行う必要があり、モデルのトレーニングには大きな手間とコストが発生します。
Natural Language APIでは、事前トレーニング済みモデルを利用した文章の分析を行います。そのため、モデルのトレーニングが不要で、利用者は用意されたAPIを実行するだけなので低コストで分析が可能となります。
Natural Language APIでは以下のような分析を簡単に行うことが出来るようになっています。
- 感情分析
- エンティティ分析
- エンティティ感情分析
- コンテンツ分類
- 構文解析
今回の検証では、トークをしているユーザーの感情の変化を分析するために「感情分析」を、どのような内容の会話をしているかを分析するために「エンティティ分析」の機能を利用しました。
「感情分析」では、テキストの文面から得られる「感情」を数値として表します。
「エンティティ分析」では、テキストの文面から「品詞」として認識した単語を取得します。この単語をエンティティと呼びます。
【アプリケーションの概要】
〈検証用アプリケーションの機能〉
- トークデータに対して、Natural Language APIを利用してテキスト分析を実施
- 分析したデータをデータベース(BigQuery)に格納
〈アプリケーションの構成〉
〈エンティティを「word cloud」として可視化した例〉
word cloudとはエンティティの分類を色で、出現回数を大きさで表現したものです。ユーザーがどのような種類の単語を頻繁に使用しているかを把握することができます。
〈エンティティを「共起ネットワーク」として可視化した例〉
共起ネットワークとは同一トーク内に含まれるエンティティを線で結び、エンティティの出現回数を円の大きさで表現したものです。単語の関連性を可視化することができ、出現頻度の高い表現などを把握することができます。
〈トークの感情推移を時系列で可視化〉
各ユーザーが送信したトークの感情スコアを時系列で表現しました。ユーザーがトークをする中での感情の推移を把握することができます。数値が「正」の場合はポジティブな感情、「負」の場合はネガティブな感情となります。
【検証の結果】
検証の結果、「Natural Language API」を用いる事で、LINE WORKSのトーク内で頻出する単語の可視化と、トーク文面の感情の可視化を、低コストで実現可能である事が判明しました。
これらの情報を利用することで、例えばトップセールスの方のトーク傾向を分析し、他のセールスメンバーに共有することで、セールス成約率の向上の効果など、様々な活用が期待できます。
このように弊社では、LINE WORKSのトークデータの分析、可視化をAIを用いて低コストで実現するアプリケーション開発を行い、LINE WORKSをより便利にご利用頂けるようなお手伝いをしています。
LINE WORKSを利用する上でのお困りごとがあればお気軽にご相談下さい。
【参考情報】
トークログの自動取得にお役立ちツール 「TAUDIT for LINE WORKS」のご紹介
LINE WORKS内に格納されているトークデータのログを、毎日自動的に取得を行うためのアプリケーションです。
>詳細はこちら
https://clo.flight.co.jp/taudit.html
上記の記事に関してご質問ございましたら、お問い合わせください。