Google WorkspaceにAIアシスタント「Gemini」が統合され、Googleドライブでの業務効率化ができる可能性が出てきました。
本記事では、GeminiのGoogleドライブ連携(Gemini in Googleドライブ)でできることを検証結果に基づきご紹介します。
データの要約、情報検索、作成など、具体的な活用例や、またGeminiがまだ苦手なことも含めてご紹介いたします。
【目次】
検証結果一覧
【検証結果 No.1】Googleドライブ内の情報を検索する
【検証結果 No.2】Google ドライブ内のファイルを翻訳する
【検証結果 No.3】ファイルの整理やフォルダ構成の最適化を提案する
【検証結果 No.4】ファイルの内容を元に説明資料を作成する
【検証結果 No.5】ファイルの内容を編集する
【検証結果 No.6】ファイル内の情報を要約する
【検証結果 No.7】メールの添付ファイルを要約する
【検証結果 No.8】指定したトピックに関する情報をファイルから抜き出す
【検証結果 No.14~21,24~25】Geminiが苦手なこと
(1) ファイルを新規作成する
(2) ファイルを削除する
(3) ファイル名を変更する
(4) ファイルをフォルダに移動する
(5) ユーザーに権限が付与されているフォルダ、ファイルの調査
(6) パスワードが記載されたファイルの確認
まとめ:GeminiのGoogleドライブ活用で業務を劇的に効率化!
<ご紹介するのはこちらのサイドパネルでの検証結果です>
検証結果一覧
Gemini in Googleドライブ においてどんなことができるのかを検証し、カテゴリ別に検証内容・指示文・結果・評価をまとめました。
No. |
検証内容詳細 |
結果 |
評価 |
1 |
検索:キーワードを指定して関連するドキュメントを検索する 「「外部共有」に関連するファイルを探して」 |
・関連するファイルの一覧が表示される | 〇 |
2 |
翻訳:Google ドライブ内のファイルを翻訳する 「@「ファイル名」の翻訳をして」 |
・「@」を付けてファイルの一覧より該当ファイルを指定する方法と直接ファイル名を記載して指示する方法がある ・ファイル内の翻訳はできる |
〇 |
3 |
提案:ファイルの整理やフォルダ構成の最適化を提案する 「Googleドライブ(案件のフォルダ)のフォルダ整理の提案をして」 |
・「用途別のフォルダ分類」「プロジェクト関連」「ファイル名の標準化」「不要なファイルの削除」「説明ドキュメントの作成」などの項目で提案ができる | 〇 |
4 |
作成:ファイルの内容を元に説明資料を作成する 「@「ファイル名」の内容を元に説明資料を作って」 |
・「@」を付けてファイルの一覧より該当ファイルを指定する方法と直接ファイル名を記載して指示する方法がある ・No.6の要約の説明と似ているが、「質疑応答」の項目や「補足事項」で分かりやすい資料にするためのアドバイスが記載されている |
〇 |
5 |
編集:Google ドライブに保存されているファイル(例:Word、Googleドキュメント、Excel、スプレッドシート 「「ファイル名」の内容を●●●で編集して」 |
・ファイルの直接編集はできないが、プロンプトに編集された文章が表示される | △ |
6 |
要約:Google ドライブ内のドキュメント(Google Docs、PDFなど)を要約する 「@「ファイル名」の内容を要約して」 |
・「@」を付けてファイルの一覧より該当ファイルを指定する方法と直接ファイル名を記載して指示する方法がある ・課題、アプローチ、結果、注意点、作業時の留意点、まとめ などの項目で回答ができる ・指定したファイル以外にも「出典」として指定したファイル以外にも複数ファイルが表示されていたので、関連するファイルからの情報も参考に回答を作成する ※古い情報や参照させたくないファイルも結果として出てしまう |
△ |
7 |
提案:Gmail と連携して、添付ファイルの要約や関連ドキュメントの提案をする 「メール「メール件名」に添付されたファイルを要約して」 |
・メール内の「ドライブのリンク」や添付された「.docx」は読み取れないが「.pdf」であれば要約はできる | △ |
8 |
検索:指定したトピックに関する情報を、ファイルから抜き出す 「@「ファイル名」から「注意すること」に関する情報を抜き出して」 |
・「@」を付けてファイルの一覧より該当ファイルを指定する方法と直接ファイル名を記載して指示する方法がある ・注意点らしき項目で回答ができる ・指定したファイル以外にも複数ファイルを確認し、それぞれの「注意すること」が表示された。 ・同じ検索でも、複数ファイルの情報を元に「注意すること」に関する情報を表示する場合があり、古い情報や参照させたくないファイルも結果として出てしまう |
△ |
9 |
読み取り:画像内のテキストを抽出する(OCR機能) 「「ファイル名」に書かれているテキストを抽出して」 |
・拡張子「PNG」で確認したところ、ファイル内のテキストおよび手書きの文字は読み取ることができない |
✖ |
10 |
質問:Google ドライブ内で Geminiに質問し、適切な回答を得る 「Googleドライブ内にある「セキュリティ」に関するファイルと更新日付を一覧表にして」 |
・ファイル名、更新日付の項目で一覧を表にできる ・「更新日付」はファイル自体のものではなく、データ内に日付の記載があれば、その情報を更新日付として取得する |
✖ |
11 |
分析:Google スプレッドシートのデータを分析し、サマリーを作成する 「「ファイル名」内のデータを分析して、概要をまとめて」 |
・スプレッドシートの内容は読み込めず、レポートの作成はできない ※PDFにしたファイルに対しては、「概要」「詳細」「分析」「注意点」の項目でサマリの作成ができる |
✖ |
12 |
作成:ファイルの内容を元に概要図を作成する 「「ファイル名」の内容を概要図にして」 |
・ファイル内の内容から概要図の作成はできない | ✖ |
13 |
作成:ファイルの内容+アイコン保存先を元に概要図を作成する 「「ファイル名」の内容と「アイコン保存先」のアイコンを使って概要図を作成して」 |
・左から右へ流れるテキストベースの簡易な処理フローは作成できるが、指定したアイコンを用いたしっかりした概要図は作成できない | ✖ |
14 |
作成:ドキュメント作成時に 文案を作成する 「「各メンバーの稼働時間」についてのレポートを作成して」 |
・作成するファイル名を指定してのレポート作成はできない | ✖ |
15 |
作成:ファイルを作成する 「Googleドキュメントで「ファイル名」を新規作成して」 |
・ファイルの作成はできない | ✖ |
16 |
作成:フォルダを作成する 「「フォルダ名」を作成して」 |
・フォルダの作成はできない | ✖ |
17 |
削除:ファイルを削除する 「「ファイル名」を削除して」 |
・ファイルの削除はできない |
✖ |
18 |
変更:作成したファイル名を変更する 「「ファイル名」を「ファイル名_テスト」に変更して」 |
・ファイル名の変更はできない |
✖ |
19 |
移動:作成したフォルダにファイルを移動する 「「ファイル名」を「フォルダ名」に移動して」 |
・ファイルの移動はできない |
✖ |
20 |
移動:作成した階層構造のフォルダ+ファイルを別のフォルダに階層そのままで移動する 「「フォルダ名1」のすべてのフォルダとファイルを「フォルダ名2」に移動して」 |
・フォルダの移動はできない |
✖ |
21 |
移動:ファイルを自動でフォルダ分けする 「「フォルダ名」の中を整理して」 |
・フォルダやファイルの整理はできない |
✖ |
22 |
変更:ドライブ内の共有設定やアクセス権を変更する 「「ファイル名」のアクセス権限に「●●●」を閲覧者で追加して」 |
・権限の追加や変更はできない |
✖ |
23 |
変更:ドライブ内の共有設定やアクセス権を変更する 「「ファイル名」を●●に共有して」 |
・権限の追加や変更はできない |
✖ |
24 |
調査:ユーザーがどのフォルダで共有されているか確認する 「「●●●@[ドメイン名]」が共有されているフォルダ、ファイルの一覧を表示して」 |
・指示についてはお手伝いできませんとなり、確認できない |
✖ |
25 |
検索:機密データの分析や保存されたパスワードを抽出する 「ユーザーのパスワードが書かれたファイルの一覧を表示して」 |
・個人情報保護の観点からユーザーのパスワードが記載されたファイルを特定したり、その内容を一覧表にしたりすることはできない |
✖ |
本記事では、No.1~8,14~25 についてより詳しく検証結果をご紹介します。
【検証結果 No.1】Googleドライブ内の情報を検索する
GeminiにGoogleドライブ内のほしい情報が記載されたファイルを検索してもらいました。
Googleドライブのサイドパネルに、以下の指示を入力します。
「外部共有」に関連するファイルを探して」
検索された結果がこちらです。
共有ドライブ、マイドライブからファイル名やファイル内の文章にキーワードが入ったファイルの一覧を表示してくれます。
Googleドライブの上部にある「ドライブで検索」に同じキーワードを入れるとフォルダも結果として出てきますが、ファイルのみを一覧を検索し一覧化してくれるので、効率がとてもよいです。
【検証結果 No.2】Google ドライブ内のファイルを翻訳する
英語のドキュメントなどを確認することも多いと思います。翻訳もGeminiで簡単にできてしまいます。Googleドライブのサイドパネルに、以下の指示を入力します。
「ファイル名」を翻訳して」
すると、英語の文書を日本語に翻訳してくれ、内容も特に問題なさそうでした。
次に、指示を「「ファイル名」を英語に翻訳して」に変えてみても、日本語の文章を英語に翻訳してくれました。
【検証結果 No.3】ファイルの整理やフォルダ構成の最適化を提案する
Googleドライブ内のフォルダやファイルが多くなり、フォルダ内の整理を考えたことは少なからずあるはずです。そんな時、Geminiにフォルダの整理の提案をお願いしてみてはどうでしょうか。
Googleドライブのサイドパネルに、以下の指示を入力します。
「「Googleドライブ(案件のフォルダ)のフォルダ整理の提案をして」
すると、フォルダの構成やファイルの種別をおおよそで把握し、現状の課題とどのように整理したらよいか提案してくれます。
実際のファイルの分類やフォルダやファイルの移動は手動とはなってしまいますが、現状を打破するためにも活用してみてはいかがでしょうか。
【検証結果 No.4】ファイルの内容を元に説明資料を作成する
手順書やマニュアルなど最初から考えるのはなかなか時間がかかります。そんな時、関連する資料から素案の作成をお願いしてみてはどうでしょうか。
Googleドライブのサイドパネルに、以下の指示を入力します。
「@「ファイル名」の内容を元に説明資料を作って」
すると、説明資料として「資料のタイトル」「資料の目的」「資料の構成」「導入準備」「質疑応答」など複数項目の説明資料を作成してくれました。
こちらも「@」で一覧からファイルを選択せず、ファイル名を直に記載し「「ファイル名」の内容を元に説明資料を作って」と指示を入力すると、表現が若干異なっていましたが、説明資料として作成してくれました。
【検証結果 No.5】ファイルの内容を編集する
作成した文章を読み手に合わせて変更したい場合、ファイルの内容の編集をお願いしてみてはいかがでしょうか。
今回は、Word(.docx)形式のファイルとGoogleドキュメントを対象に文末の表現を「丁寧語」から「謙譲語」に変更してみました。
Googleドライブのサイドパネルに、以下の指示を入力します。
「@「ファイル名」のファイルの内容を謙譲語で編集して」
すると、両形式ともファイルを直接編集はされず、プロンプトへ文章を謙譲語として表示してくれました。
<変種前の文章>
ユーザー情報を編集するには、編集マークをクリックし、該当の項目を更新します。
注意点として、最後に必ず、「保存」ボタンを押してください。
<編集後の内容(Word)>
<編集後の内容(Googleドキュメント)>
<編集後の内容(Excel)>
<編集後の内容(スプレッドシート)>
【検証結果 No.6】ファイル内の情報を要約する
サービスの説明やアップデート情報、議事録など文章が長く、時間がないけどざっくりと内容が知りたい!ということはありませんか?実は、Geminiで内容を要約してくれるのです。
ファイルを指定する場合は、「@」を入力するとファイルの一覧がでてきます。そこから該当のファイルをクリックし、指定することができます。
ファイルを指定して、「の内容を要約して」と指示を入力すると、
内容にもよりますが、「利用できる機能」、「関連トピック」など項目に分けて要約してくれます。今回は、「Gemini for Google Workspace」の機能についての説明資料を要約してもらいました。
また、要約時に利用したファイルは「出典」の項目に表示されるため、どこのファイルが利用されたのか確認することもできます。
ファイルを指定する際には注意点があり、「@」で一覧に表示されない場合があります。その際には、マイドライブへファイルをコピーなどすると一覧に表示されるようになります。
また、ファイル名を直接指定することも可能でした。
ただ、出力内容は同じでしたが、「出典」に関連しそうな複数ファイルが記載されていて、出力された内容も古い情報が混じっているなどの結果となりました。また、「出典」の記載がない場合もあり、出力された情報は「@」で指定したファイルの要約と同じようでしたが、どこのファイルの情報を元にしたのか不明な状態でした。このため、現時点では、「@」を付けファイルを指定してからの要約がよさそうです。
【検証結果 No.7】メールの添付ファイルを要約する
Geminiで、メールに添付されたファイルが認識でき、ファイルの内容が要約可能か確認してみました
添付ファイルは「.docx」と「.pdf」で確認しています。
Googleドライブのサイドパネルに、以下の指示を入力します。
「メール「メールの件名」に添付されたファイルを要約して」
すると、「.pdf」の添付ファイルがあるメールは、要約ができました。
しかし、「.docx」の添付ファイルがあるメールについては、ファイルが認識できず、「ファイルの内容についての記載はありませんでせんでした。」と要約はできませんでした。
認識できるファイルとそうではないファイルがあるようですが、今後のアップデートでより多くのファイルに対応してくれることを願います。
【検証結果 No.8】指定したトピックに関する情報をファイルから抜き出す
手順書やマニュアルなどで注意点など、確認したい項目がある場合、Geminiで、確認したい内容を指示することは可能です。ただし、指示の仕方で結果が変わるため、注意してください。
Googleドライブのサイドパネルに、以下の指示を入力します。
「@「ファイル名」から「注意すること」に関する情報を抜き出して」
すると、該当のファイルには「注意すること」という文言は存在しませんが、「注意事項」と記載のある箇所を表示してくれました。
次に「@」で一覧からファイルを選択せず、ファイル名を直に記載し「「ファイル名」から「注意すること」に関する情報を抜き出して」と指示を入力します。
すると、指定したファイル名に似たファイルから「注意すること」の情報を表示してくれました。
ただ、「@」で指定した際には、表示された内容が、こちらの指示では、「関連する情報は含まれませんでした。」となってしまいました。
このため、ファイルを「@」で指定する方がより明確な情報がでてきそうです。
【検証結果 No.14~21,24~25】Geminiが苦手なこと
ファイルの要約や説明資料の作成のお手伝いなどGeminiが解決してくれると嬉しいのですが、現時点ではまだまだ満足のいく結果とはならない模様です。
(1) ファイルを新規作成する
「Googleドキュメントでファイル名「ファイル名」を新規作成して」と指示を入力します。
しかし、以下のように、問題が発生しました(英語)という回答が生成されました。
(2) ファイルを削除する
「@「ファイル名」を削除して」と指示を入力します。
しかし、以下のように、ファイルを削除できない(英語)という回答が生成されました。
(3) ファイル名を変更する
「@「ファイル名」のファイル名を「xxxx」に変更して」と指示を入力します。
しかし、以下のように、ファイル名を変更できない(英語)という回答が生成されました。
(4) ファイルをフォルダに移動する
「@「ファイル名」を共有ドライブ「共有ドライブ名」に移動して」と指示を入力します。
しかし、以下のように、ファイルをフォルダに移動することはできない(英語)という回答が生成されました。
(5) ユーザーに権限が付与されているフォルダ、ファイルの調査
「「アカウント名」に共有されているフォルダ、ファイルの一覧を表示して」と指示を入力します。
しかし、以下のように、どうすることもできない(英語)という回答が生成されました。
(6) パスワードが記載されたファイルの確認
「ユーザーのパスワードが記載されたファイルの一覧表を作成して」と指示を入力します。
しかし、以下のように、パスワードを含む情報の一覧は作成できないという回答が生成されました。
ファイルの作成、削除、編集、移動、権限参照などはまだまだ苦手なことが分かりました。
まとめ:GeminiのGoogleドライブ活用で業務を劇的に効率化!
今回の検証で分かったGeminiのGoogleドライブ機能のポイントは以下の通りです。
✔ ドライブ内のファイル検索が可能
✔ ファイル内の翻訳も可能
✔ ファイル内の要約や簡易的な説明資料の作成は可能
△ ファイル内の直接編集はできないが結果の出力は可能
△ 読み込めないファイルが存在する(画像ファイル)
△ ファイルの指定方法や指示の内容によって、結果が変わる
✖ ファイルの作成や削除、移動ができない
✖ ファイル、フォルダに権限付与ができない
✖ パスワードの記載されたファイルや該当ユーザーの権限付与状態などプライバシーに関する検索ができない
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【参考情報】
Gemini in Google ドライブを活用するーGoogleドライブヘルプ
※本記事の情報及びスライド内の画像は2025年2月時点での仕様のものです。
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