Google WorkspaceにAIアシスタント「Gemini」が統合され、Google Chat で業務の効率化ができる可能性が出てきました。
本記事では、GeminiのGoogle Chat連携(Gemini in Chat)でできることを検証結果に基づきご紹介します。
Chatの会話の要約や分析など、具体的な活用例や、Geminiがまだ苦手なことも含めてご紹介いたします。
【目次】
検証結果一覧
【検証結果 No.4】Geminiで会話内容を要約!
(1) 対象のスペースの会話内容を要約する
【検証結果 No.9,10】Geminiでタスクや会議日程を洗い出し!
(1) タスクを洗い出し
(2) 会議日程を洗い出し
【検証結果 No.11】Geminiでパーソナリティを分析!
(1) 会話内容からパーソナリティを分析
【検証結果 No.5,6】Geminiがまだ苦手なこと
(1) 会話内容から会議日程をカレンダーに登録する
(2) 会話内容からToDoリストを作成する
まとめ:Gemini in Chatで業務を劇的に効率化!
<ご紹介するのはこちらのサイドパネルでの検証結果です>
検証結果一覧
No. |
検証内容詳細 |
結果 |
評価 |
1 |
【検索編】 「Google Workspace の信頼ルールについて教えて」 【前提条件】 【期待する結果】 |
回答不可 左記指示文では回答は得られなかった ▼「Web検索で」とつけないとWebから情報を持ってこない ▼ドライブから該当の資料を探してくれない(ファイル指定しないといけない) →指示の仕方には工夫が必要である |
✖ |
2 |
【検索編】 「Google Vault のデータの保持期間はどのくらいに設定されているか教えて」 【前提条件】 【期待する結果】 |
期待通りの動作 ▼自身が所属していないスペースからは情報を持ってこないことが分かった ▼そもそもとして、現在開いているスペースからしか情報を持ってこない →情報源を絞ることでより精緻な回答を提供するためのGemini in Chatの特性とみられる |
〇 |
3 |
【要約編】 「このファイルの内容を要約して 【前提条件】 【期待する結果】 |
要約可 ファイルの内容は、問題なく要約された |
〇 |
4 |
【要約編】 「Google Workspace のアカウント運用について、このスペースの会話を要約して」 【前提条件】 【期待する結果】 |
要約可 スペースの会話内容から問題なく要約された |
〇 |
5 |
【作成編】 「Google Workspace の利活用支援の打ち合わせについて、Googleカレンダーに予定を入れて」 【前提条件】 【期待する結果】 |
作成不可 カレンダーへの登録はできないが、予定の洗い出しだけ指示すれば問題なく回答があった |
✖ |
6 |
【作成編】 「本スペースから、自身のタスクをToDoリストに登録して」 【前提条件】 【期待する結果】 |
作成不可 | ✖ |
7 |
【作成編】 「本スペースにWebhookを導入して、日次のタスクを17:00に連絡して」 ※Webhookとは、Webアプリケーションでイベントが実行された際、外部サービスにHTTP で通知する仕組み |
作成不可 | ✖ |
8 |
【作成編】 「りんごの画像を生成して」 |
作成可 問題なくりんごの画像が生成された |
〇 |
9 |
【分析編】 「本スペースから、自身のタスクを洗い出して」 【前提条件】 【期待する結果】 |
洗い出し可 正しくタスクが洗い出された |
〇 |
10 |
【分析編】 「Google Workspace の利活用支援の打ち合わせについて、会議の日程を教えて」 【前提条件】 【期待する結果】 |
洗い出し可 正しく会議日程が洗い出された |
〇 |
11 |
【分析編】 「このスペースの会話から、<対象ユーザー>の性格が知りたい」 【前提条件】 【期待する結果】 |
分析可 親切で協力的、頼りになる存在などといった回答が返ってきた |
〇 |
本記事では、No.4~6,9~11 についてより詳しく検証結果をご紹介します。
【検証結果 No.4】Geminiで会話内容を要約!
Geminiでスペースの会話内容を要約してもらいました。
(1) 対象のスペースの会話内容を要約する
Google Chatのサイドパネルに、以下の指示を入力しました。
「Google Workspace のアカウント運用について、このスペースの会話を要約して」
生成された内容がこちらです。
画像には表記できなかった Gemini の回答を下記にて抜粋します。
- 管理者 ENT2が田中太郎にGoogle Workspaceのアカウント運用ルールについて質問しました。
- 新入社員のアカウント発行は、人事からの通知後、アカウントを作成し、必要なグループやOUに入れるだけです。初期パスワードは一時パスワードを発行し、初回ログイン時に変更必須、2段階認証も必須です。
- 退職時のアカウント停止は、まずアカウントを停止し、データの引き継ぎ後、30日以内に完全削除します。データはGoogle Vaultで管理され、必要なファイルは事前に別のユーザーに所有権移行します。
- 田中太郎はGmailの送信制限やセキュリティ周りの設定一覧を送り、管理者 ENT2がそれをもとにチーム内でマニュアル化します。
会話の内容は網羅的に要約され、話者の記載もあり非常に分かりやすくなっていました。
このように、Geminiを使えば、新規でプロジェクトに参画したメンバーでも長い会話を追うことなく会話内容を把握することが可能です。
【検証結果 No.9,10】Geminiでタスクや会議日程を洗い出し!
次に、会話内容から自身のタスクの洗い出しをGeminiに任せてみました。
(1) タスクを洗い出し
「本スペースから、自身のタスクを洗い出して」と指示すると、以下のようにタスクが生成されました。
画像には表記できなかった Gemini の回答を下記にて抜粋します。
- 田中さんからGoogle Workspaceのセキュリティ設定の一覧を受け取る。
- 受け取った一覧をチーム内でマニュアル化する。
膨大な会話のなかでもタスクを瞬時に洗い出すことができ大変便利です。
※完了済みのタスクを除外したい場合は「完了したタスクを除外して、本スペースから、自身のタスクを洗い出して」と指示すると進行中のタスクのみを洗い出してくれました。
(2) 会議日程を洗い出し
タスクだけでなく、会議日程等を洗い出すことも可能です。
何度か会議日程を変更した会話を実施し、
「Google Workspace の利活用支援の打ち合わせについて、会議の日程を教えて」と指示すると、以下のように会議スケジュールを教えてくれました。
画像には表記できなかった Gemini の回答を下記にて抜粋します。
打ち合わせの日程は4月11日15:00です。
日程が二転三転しているにも関わらず、最終的な日程を提示してくれました。
【検証結果 No.11】Geminiでパーソナリティを分析!
相手の性格を把握することで、業務がより円滑に進むことがあります。会話内容から、Gemini でパーソナリティを分析してみましょう。
(1) 会話内容からパーソナリティを分析
砕けた口調で会話するユーザー像をイメージしたやり取りを実施し、
「このスペースの会話から、<対象ユーザー>の性格が知りたい」と指示すると
対象ユーザーの性格を分析してくれました。
画像には表記できなかったGeminiの回答を下記にて抜粋します。
田中さんは以下の特徴を持っているようです。
- 親切で協力的: 管理者からの質問に丁寧に答えています。
- 知識豊富: Google Workspaceの運用について詳細な知識を持っています。
- 整理整頓されている: アカウント発行や停止の流れ、データの管理方法など、運用ルールをしっかり把握しています。
- 頼りになる: 困ったことがあればまた聞いてと伝えており、気軽に相談できる雰囲気を作っています。
- 親しみやすい: 「お、佐藤くん。いいよ、どうした?」という返答から、親しみやすい人柄が伺えます。
対象ユーザーのフランクな性格を捉えてくれました。
このような分析は生成AIならではです。また、Google Chat 内で分析が簡潔するので、情報漏えいの心配もありません。
【検証結果 No.5,6】Geminiがまだ苦手なこと
会話内容から会議日程やタスクの洗い出しをすることは可能ですが、洗い出した情報を他アプリに連携することはできないようです。
(1) 会話内容から会議日程をカレンダーに登録する
会議予定についてやり取りのあるスペースを開き、「Google Workspace の利活用支援の打ち合わせについて、Googleカレンダーに予定を入れて」と指示を入力しました。
しかし、以下のように、対応できかねる(英語)という回答が生成されました。
カレンダーと連動した日程調整はまだまだ苦手なことが分かりました。
(2) 会話内容からToDoリストを作成する
次に、会話内容から、ToDoリストの作成を試みました。
<ToDoリスト>
「本スペースから、自身のタスクをToDoリストに登録して」と指示を入力しました。
しかし、以下のように、リクエストに応えられないという回答が生成されました。
ToDoリストと連動したタスクの作成はまだまだ苦手なことが分かりました。
まとめ:Gemini in Chatで業務を劇的に効率化!
今回の検証で分かったGemini in Chatの機能のポイントは以下の通りです。
✔ 会話内容の要約
✔ 会話内容からスケジュールやタスクを抽出
✔ 会話内容からパーソナリティの分析
✖ 他のGoogleサービスとの連携はまだまだ苦手
また、留意事項は以下の通りです。
!要約やタスク洗い出し等の対象範囲はあくまで現在開いているスペース(あるいはダイレクトメッセージ)
! Web検索をしたい場合は「Web検索で」と指示する必要がある
! ドライブ上のファイルを参照をする際は、「@<ファイル名>」といった指定が必要
!「作成して」と指示すると応答されないケースが多いが、「教えて」と指示すると回答を得られやすい
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【参考情報】
Gemini in Google Chat を活用する - Google Chat ヘルプ
※本記事の情報及びスライド内の画像は2025年4月9日時点での仕様のものです。
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